Googleタグマネージャー(GTM)初心者マニュアル

WEB・SNS広告の効果測定ガイド:実装から解析まで

本ガイドは、Googleタグマネージャー(GTM)を使ったWEB・SNS広告の効果測定方法について、初心者向けに体系的に解説しています。GA4との連携、クロスドメイン設定、イベント計測の手法や実装例を含む、これから広告解析を始める方に最適なマニュアルです。

GTMとは

Googleタグマネージャー(GTM)は、ウェブサイトやアプリ上で様々なタグ(例:Googleアナリティクス、広告計測用ピクセル、イベントトラッキングタグなど)を一元管理できる無料のタグ管理ツールです。
GTMを導入することで、エンジニアに依頼せずともマーケターがタグの追加・修正・公開を簡単に行えるため、広告やWeb解析作業の効率化につながります。

GTMの導入手順

  1. GTMアカウントの作成
    Googleタグマネージャーにログインし、アカウントとコンテナ(Webサイト単位)を作成します。
  2. コンテナの種類を選択
    『ウェブ』または『AMP』『サーバー』『iOS』『Android』など該当するものを選びます(通常は「ウェブ」)。
  3. GTMのインストール用タグ取得
    コンテナ作成後、「ウェブサイトに追加」の2つのコード(head/tags body直後)をコピーします。
  4. ウェブサイトの全ページにタグを埋め込み
    GTMコードを各ページの <head> 部分と、 <body> 直後に貼り付けます(※詳細は次項)。
  5. 適切なタグ/トリガー/変数の設定
    例:GA4計測タグ、SNS広告のコンバージョンタグ等をGTMから一括管理。

GTMタグの埋め込み方

基本的な手順

GTM管理画面より発行される2つのコードを、全ページの対応箇所へ貼り付けます。

<head>
  ...
  <!-- Google Tag Manager -->
  <script>(function(w,d,s,l,i){w[l]=w[l]||[];w[l].push({'gtm.start':
  new Date().getTime(),event:'gtm.js'});var f=d.getElementsByTagName(s)[0],
  j=d.createElement(s),dl=l!='dataLayer'?'&dl='+l:'';j.async=true;j.src=
  'https://www.googletagmanager.com/gtm.js?id='+i+dl;f.parentNode.insertBefore(j,f);
  })(window,document,'script','dataLayer','GTM-XXXXXXX');</script>
  <!-- End Google Tag Manager -->
  ...
</head>

<body>
  <!-- Google Tag Manager (noscript) -->
  <noscript><iframe src="https://www.googletagmanager.com/ns.html?id=GTM-XXXXXXX"
  height="0" width="0" style="display:none;visibility:hidden"></iframe></noscript>
  <!-- End Google Tag Manager (noscript) -->
  ...
</body>
※GTM-XXXXXXXはご自身のIDに変更してください。

既存サイトの全ページで同様に設定してください。
タグが正常に設置されていないと、計測や広告タグも正しく動作しませんのでご注意ください。

クロスドメイン設定

クロスドメイン計測とは、複数ドメイン間でユーザー遷移が生じる場合でも、同一ユーザーとして計測を継続するための設定です(例:ECサイト本体と決済サブドメインなど)。

  1. GA4設定タグ「設定フィールド」変更
    GTMのGA4タグにて、「設定フィールド」の「fields to set」で allowLinkertrue に設定。
  2. 「選択したドメイン間でリンクする」
    「追加の設定」>「クロスドメイン計測」から遷移先のすべてのドメイン(カンマ区切り)を追加。
  3. タグを保存し公開。
    設定を終えたら、タグアシスタントやタグ配信状況をチェック。
注意: クロスドメインが適切に設定されていないと、セッションが分断され広告効果の正確な計測ができなくなる恐れがあります。

イベント計測の仕組みと実装例

イベント計測は、ページ閲覧以外のユーザー行動(例:ボタン・バナー・リンククリック、スクロール、動画再生など)をGTM経由でGoogleアナリティクスや広告媒体に送信する手法です。

GTMでボタンクリックイベントをGA4へ送信する例

  1. 新規トリガー作成
    「トリガー」→「新規」→「クリック(全要素)」/特定要素であれば「一部のクリック」を選択し、対象ボタンセレクタ(例:IDやクラス)で絞り込み
  2. 新規タグ作成
    「タグ」→「新規」→タグタイプ:「Googleアナリティクス: GA4イベント」
  3. イベント名・パラメータ入力
    例)イベント名:click_cta、パラメータに「button_name」など
  4. 作成したトリガーを関連付けて保存、公開
例:
イベント名: click_cta
パラメータ: { button_name: '資料請求ボタン' }
他にもイベント例:

効果分析・運用のベストプラクティス

よくある質問(FAQ)

Q. GTMを使うとサイトが重くなりませんか?
適切な実装なら、ほとんどの場合パフォーマンスへの影響はごくわずかです。不要なタグや重複したトリガーは整理しましょう。
Q. どのタイミングでGTMタグを差し替えるべき?
全ページ同時推奨。サイトリニューアル時、GA4導入時などが好機です。
Q. GTMでSNS広告(Facebook/LINE/Google等)の計測ピクセルも管理できる?
はい、各種広告媒体用タグもGTMで一元管理、およびイベント送信ができます。(例:Facebookピクセル/Google広告タグなど)
Q. Adobe Analytics/広告代理店独自タグとも連携可能?
サードパーティタグもカスタムHTMLタグやテンプレートで柔軟に設定できます。
Q. SPA(シングルページアプリ)でも使える?
SPA向けのページ閲覧イベント検出(履歴の変更で計測する設定等)が必要ですが利用可能です(mainly "History Change" trigger)。

参考資料・公式ドキュメント